吉 富 昭 仁
〜BLUE DROP 誕生秘話〜 その3
(2007.9.5更新)
「海人〜KAIJIN〜」の次に発表したのが「神子〜KAMINOKO〜」でした。
この作品集において、「神子〜KAMINOKO〜」だけ他と異なる要素で構成されています。
それは「男女の恋愛」という普遍的なテーマで描かれているという事です。
「BLUE DROP」の世界観は「女性同士で繁殖する異星人」という基本設定が土台にあるのですが、実を言いますと「神子〜KAMINOKO〜」の時点では「異星人はSF設定のひとつに過ぎない」という認識で、あまり重要視していませんでした。
なので、このエピソードには異星人が出て来ません。
それより「海人」という残留兵器の方に着目し、新たな残留兵器「思念凝結兵器」を出しています。
このように、新たな設定を追加していく形でこの世界を構築していこうとしていました。
物語自体も私の中ではかなりオーソドックスな部類に入ります。
この頃から漠然と「ああ、こんな作風が連続した短編集になるんだろうな」と思っていたのですが、担当イマイ氏はこの「神子〜KAMINOKO〜」を見て「この路線だと、ただ単に“良作”が並んだだけの短編集になるなあ」という感想を持ったようです。
さすがイマイ氏。
ちなみに「神子〜KAMINOKO〜」に出て来る漫画「超救命コア・ガード」の作者名は「IMAI」となってます。
その後、私の仕事場ではイマイ氏の事を「超救命の人」と呼ぶようになってしまいました。
「海人〜KAIJIN〜」を受けて「神子〜KAMINOKO〜」を描き、点が線になったときに方向性が見え、そのついでに終着点まで見えてしまったという事で「ちょっと壊してみようか」という話になっていきました。
普通なら「綺麗にまとまりそうなら綺麗にまとめよう」と思うところですが、私の場合「壊したい」という破壊衝動みたいなものが常にありますので、このイマイ氏の提案にホイホイと乗りました。
そこで出て来たのがYUIだったというわけです。
YUIは「BLUE DROP」シリーズ初のレギュラーキャラとなりました。
つ づ く